名古屋陶磁器会館は、昭和7年(1932)11月20日、当時の名古屋陶磁器貿易商工同業組合の事務所として建設されました。設計者は名古屋高等工業学校教授・鷹栖一英氏(のちに名城大学建築学科を創設)、実施設計及び監理は丹羽英二氏が務め、名古屋市の志水建築業務店が施工。鉄筋コンクリート地下1階地上2階建て(一部3階)のビルは、役物を含む手の込んだ施釉スクラッチタイルとドイツ表現主義の影響を感じさせる立体的な装飾で覆われており、軒下や天井などの幾何学的な意匠にアール・デコに通じるデザインも見られ、当時平屋の木造家屋ばかりだった辺りを圧倒する威容で、陶磁器輸出の全国的主導権を握っていた名古屋陶業界の力を内外に示す象徴的役割を果たしました。戦争をはさんで、昭和21年(1946)に鉄骨造の建屋を屋上部分に増築。昭和24年(1949)9月22日、財団法人 名古屋陶磁器会館が設立された後は、同業組合から受け継いで会館を管理・運営し、現在に至っています。
※平成25年(2013)4月1日をもって「財団法人 名古屋陶磁器会館」から「一般財団法人 名古屋陶磁器会館」に移行しました。
※一般財団法人とは(法務省)
名古屋陶磁器会館が実施した主な事業は以下の通りです。
■顕彰事業
◆井元為三郎氏の胸像建立(昭和34年)
◆水野保一氏の胸像安置(昭和58年)
■書籍の刊行
◆『日本輸出陶磁器史』(昭和42年4月)
◆『名古屋陶業の百年─会館の壁は聞いた150人の回想』(昭和62年)
◆『東区もう一つの地図』(平成2年)
◆『名古屋の絵付け』(平成7年)
◆『名古屋絵付け物語』(令和2年6月)
■技芸向上奨励(育成事業)
◆名古屋陶磁器上絵付けコンクール入賞者の表彰(昭和52年〜59年)
◆上絵付け教室の開催(平成2年〜)
◆名古屋絵付け教室の開催(平成30年〜)
◆絵付け技能者の表彰(平成3年)
◆絵付け体験会の開催(平成16年〜)
■陶磁器作品の展観事業
◆徳川美術館に協力(中国清朝陶磁器作品展、昭和28年)
◆愛知県陶磁資料館に寄託(花瓶ほか2点、昭和54年〜平成16年)
◆手描き製品の収集
第1回(昭和63年)、第2回(平成元年)、第3回(平成2年)
◆名古屋海洋博物館に資料提供(平成2年〜)
◆資料の貸出(企画展協力)
「起承展」(名古屋市民ギャラリー、平成8年)
「器に描かれた美人画」(瑞浪陶磁器資料館、平成14年)
「食卓の華」(愛知県陶磁資料館、平成19年)
文化のみち橦木館展示協力(平成22年〜)
「超技の世界 ―瀬戸焼・美濃焼・名古屋絵付など―」(横山美術館、平成31年)
「魅了する 煌めく薩摩」(横山美術館、令和元年)
「じだいをつなぐ 近代・現代陶磁の美」(横山美術館、令和元年)
◆過去に輸出した商品の収集(昭和63年〜)
◆資料室の開設(平成6年)
◆企画展「クリスマスで彩る陶磁器会館」(平成21年〜)
◆企画展「雛人形・五月人形で彩る陶磁器会館」
◆企画展「絵付け実演ウィーク」(平成30年〜令和元年)
■文化庁事業
◆文化庁「文化遺産を活かした観光振興地域活性化事業」(平成23・24年度)
◆文化庁「文化遺産を活かした地域活性化事業」(平成25年度〜)
◆文化庁「伝統文化親子教室」(平成26年度)
■歴史的建造物の保存事業
◆名古屋市景観重要建造物指定(平成20年)
◆国登録有形文化財建造物登録(平成20年)
◆外壁等保存修理(平成22年度)
◆愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会事務所設置(平成23年〜平成26年)
◆電気設備工事(平成25年度)
◆屋上防水工事(平成27年度)
▲現在の陶磁器会館 外観